先日、クライアントさんと一緒に、ある企業様にお伺いしてベンチマーキング視察をさせていただきました。
その会社の名は豊産業株式会社さん。
もの作りをする工場で、神戸にあります。
駐車場に車を停めて降りるや否や社員さんが「こんにちは!!」という元気な挨拶をしてくれる。
そんなめちゃくちゃ素敵な会社です!
今回、社長の石川さんに、特別に時間を取ってもらい色々なお話しをお伺いしてきました。
元々は営業活動をする中のリサーチの一環として紹介していただき、部長と営業マンと僕で話を聞いてきました。
石川さんのお話を聞いて、工場を見学させてもらって、また話を聞く。
そんな流れで約2時間、色々お話を聞き、色々体験させてもらいました。
見た人が驚くベンチマークされる工場とは?
リサーチメインのつもりだったのですが、工場見学の方が刺激的で、その時間が終わった後のクライアントさんの反応が、
「すごい…!」
「あり得ない…!」
「なんなんだあれは?!」
「なんであんなことができるんだ?!」
というような、
感動、絶句、良い意味で理解不能!
といった感じの反応でした。
この豊産業さん、本当に色んな取り組みをされているのですが、その1つ1つの全てを社員さんが自ら考えて、自ら行動して、そして楽しんでいる♪ そのことにクライアントさんは本当に驚いていました。
特にクライアントさんが感動していたのは「サンキューカード掲示板」。
ただ貼り出すだけでなくて、この中にもいろいろ工夫があります。
各週ごとにテーマがあって、それぞれ「話し愛」「認め愛」「高め愛」「助け愛」といった言葉の工夫もしています。
また、ありがとうを貰うとシールを貼っていくのですが、貰った人が貼るとむず痒いから贈った人がシールを張るようにしている!とか。
また、この掲示板は暗い場所にあって見えにくかったらしく、かと言って常に照らすほど頻繁に人が来るわけではないし…ということでセンサー式の照明を設置したりとか。
中身の工夫もさることながら、これを25歳の若い社員さんが率先して考えて取り組んでいるという事実に、クライアントさんは本当に驚いていました。
おそらくですが、クライアントさんの中の常識がガラガラと崩れて行ったのではないかと思います。
他にもたくさん面白いことをされていましたが、長くなるので省きます。
2代目社長の想い
代表の石川さんは、54年続いていた創業者である先代から会社を引き継いで約3年。
「目指しているゴール自体は先代となんら変わっていないんです。でもやり方は全く違います。」と仰るように、カリスマ性のある先代が54年間続けてきた「TOPが引っ張っていく」という機関車型の風土から、「社員自らが考えて動く」という新幹線型の風土(新幹線は全車両にモーターが付いている)へと変えていっている最中だそうです。
実際、そういう動きを始めてから約2年が経ち、従業員数で言うと100名を超えている中で、外から見るとすでにものすごく根付いています。
石川さんは「まだまだです。」と仰っていましたが、
54年続いた風土を2年でここまで根付かせることができる!
という衝撃がものすごくありました。
実際、古参の社員さんには反対もされたし、若手からも何言ってんの?という顔をされたし、「朝礼をする」と言った時には、先代からもそんな時間を使うならラインを動かすべきだ!と猛反対されたりもしたそうです。
でも、それに対して「僕のやり方はこれなんだ!それができないなら社長を降りる!」と言い切るなど、覚悟を持って乗り越えてきたそうです。
そんな石川さんのお話しを聞いて、本当に感動でした。ウルっときました。
なぜそんなことが実現できたのか?
ということを質問させていただいたところ、「社員さんを連れて視察に行ったこと、そして逆に視察してもらったこと。特に見てもらうほうですね。」と仰っていました。
今まで外の会社を見たことがない社員さんたちを、どんどん見に行ってもらったり、視察を受け入れして見てもらったり、ということを積極的にされたそうです。
特に見てもらうほうですが、完璧な状態になってから見てもらうのではなく、中途半端であっても見てもらうようにしたことが本当に大事だったと。
初めは全然できていないから社長も手伝いながら遅くまで準備したりしていたそうです。でも今は社長は何もしなくてもいい状態なんだとのこと。
他にも例えば、採用活動時に、応募者に「ウチはこんな会社です!」「こんな人を求めています!」ということを言う。そうすると今いる社員さんもそうしないといけなくなる。
そんな機会をたくさん持つことが大事だと仰っていました。
誰かに見られるということでやはり張り合いが出ます。
それが良い評価に繋がれば尚のことです。
そのために先に見られる状態を作り、そこから良い評価になるように必死に努力する。
良い評価がもらえるようになったから見てもらうのではないんです。逆なんですね。
これができたらもう、大部分上手く行ったようなもんだと思います。
ただ、わかっていても、中々できないことかもしれません。
それをやってのけているのは本当にすごいことです。
また、石川さんが何度も仰っていたことがあります。
それは、「すごいのは僕じゃなくて社員さんなんです。本当にすごいんですよ!」
という社員さんを称える言葉です。
そんな言葉を外部の我々に対して、本当に素敵な笑顔で何度も仰る石川さんがとても印象的でした。
心から社員さんに感謝しているのが伝わってきました。
やはり最後は「感謝」なんです。
社長の感謝の気持ちが社員さんに伝わるから、社員さんも感謝してくれる。
鏡の法則ですね。
ベンチマークのメリット
長々書きましたが、今回、僕がお伝えしたいことは2点です。
1つは、
コンサルタントが一生懸命勉強するだけでなく(それは当たり前ですし)、
『クライアント様が実際に視察(体験)することがめちゃくちゃ有意義だ!』
ということです。
百聞は一見に如かずとはまさにこのことだと思います。
こんな会社があるんだ…!ということを知ることで、制限が取っ払われ、今までの常識が崩れます。
こういうきっかけの作り方も、クライアント様のためになるなら全然ありだと思いました。
2つ目は、
『組織風土は変えられる!しかも思っている以上に早く!』
ということです。
54年続いた機関車型の風土を、たった2年で真逆の風土に変えているという事実に驚くと同時に、そんなことができるんだ!と言う勇気を貰いました。
もちろん、生半可な気持ちではできないことは間違いありません。
54年と比較したら確かに2年は短く感じますが、やっている本人たちは長い時間だったかもしれませんし、大変な苦労がたくさんあったことでしょう。
でも、実際にできている!ということもまた、間違いのない事実です。
僕の制限、常識もガラガラ崩れました。
今回の視察は、僕が勝手に言い出して、クライアントさんを若干ムリヤリ巻き込んで一緒に訪問しました。
でも行動して本当に良かった!そう思いました。
僕のポリシーに『相手が豊かになるならおせっかいに関わる』というものがあります。
余計なお世話かな…?と変な気を遣いそうになるのですが、このポリシーのおかげで行動できます。相手が豊かになるのであれば活用できるものはなんでも活用しよう!そう思えます。今回もそうでした。
あくまでも我々コンサルタントはクライアントに対して「きっかけ」を与えることが役割です。今回、豊産業さんの力をお借りすることでそれが実現できたと思います。
1人でやらなきゃいけない!なんてことも無いと思うので、めちゃくちゃ甘えさせてもらいました。そしてそうさせてもらって本当に良かったです。
今回、本当に多くの気付きをいただきました。
視察させていただいた豊産業さんには本当に感謝しかありません。
・自社や業界以外の会社をあまり見たことが無い
・会社の風土を変えたい
・古い体質を打破したい
・蓋をしてしまっている社員の蓋を取っ払いたい
そんな思いをお持ちであれば、
ベンチマーキング視察はおススメです。
僕も、できる範囲で継続して視察に行きたいと思います。
また、その際はご報告しますね。
この件でもし何かあれば、お気軽に田上までどうぞ。
豊産業株式会社HP
採用ページ
http://yutaka-kobe.co.jp/saiyo/